飲食店やバーを別の物件へ移すときは、新店舗の飲食店営業許可と、営業内容に応じた警察の手続きを確認します。旧店舗と同じ屋号・同じ営業者でも、所在地変更の届出だけで移転が完了するわけではありません。
物件契約や内装工事に進む前に、新店舗で行う営業と、その場所で必要な手続きを照合しましょう。この記事では、岐阜で別の物件へ移る際の確認順序と、旧店舗を閉じる手続きを整理します。
移転先の手続きは、保健所と警察に分けて考える
まず、新店舗の営業内容を整理します。店名が「バー」「スナック」だから決まるのではなく、接待の有無、営業時間、設備などで、警察への許可申請や届出の要否が変わります。
| 新店舗で行う営業の例 | 保健所の手続き | 警察の手続き |
|---|---|---|
| 通常の飲食店営業 風俗営業・深夜酒類営業等に該当しない場合 | 新店舗の飲食店営業許可 | この表に挙げる風俗営業許可・深夜酒類の開始届出は不要 |
| 客の接待をして飲食をさせる営業 | 新店舗の飲食店営業許可 | 新店舗の風俗営業許可 |
| 接待等を行わず、深夜に酒類を提供する営業 通常主食を提供する営業の除外に該当しない場合 | 新店舗の飲食店営業許可 | 新店舗の深夜酒類提供飲食店営業の開始届出 |
風俗営業の許可も、深夜酒類提供飲食店営業の届出も、営業所ごとの手続きです。風営法の変更届の規定は、営業所については名称の変更を対象としており、別の物件への移転を住所変更だけで済ませる仕組みではありません。
深夜とは午前0時から午前6時までです。通常主食と認められる食事を営業の常態として提供する店は、酒類提供飲食店営業の定義から除かれます。昼だけ食事を出すといった事情だけで、除外に該当すると判断しないでください。
根拠は、風営法第2条・第3条・第9条・第13条・第33条と、警察庁の解釈運用基準(2026年7月1日)です。接客方法や深夜の催しも含め、予定する営業を伝えて確認します。
物件契約・工事の前に、場所と図面を確認する
旧店舗で認められていた営業が、新しい場所でもできるとは限りません。風俗営業や深夜酒類提供飲食店営業には営業できない地域があるため、移転先の所在地を管轄する警察署の生活安全課へ、営業内容と場所を相談します。
飲食店営業許可では、新店舗の設備が施設基準を満たす必要があります。岐阜市は、工事着工前に平面図を持参して相談することを案内しており、居抜き物件も同様です。厨房や手洗い設備の工事を決める前に、図面で確認しましょう。
不動産の募集図面だけで済ませず、厨房、客席、出入口、設備の位置が分かる計画図を用意すると、相談内容を整理しやすくなります。保健所と警察へ異なる計画を説明しないよう、変更後の図面をそろえておくことも大切です。
営業できる地域や提出先は、岐阜県警の風俗営業の許可申請と深夜酒類の開始届出、工事前相談は岐阜市の営業許可申請で確認できます。
同じ店舗での内装変更を検討している場合は、風俗営業許可後の内装変更|承認と届出の違いを参照してください。今回の「別の物件へ移る手続き」とは、確認する入口が異なります。
新店舗の開店日は、必要な手続きから逆算する
新店舗の開店希望日を置いたら、契約・工事・申請の日程を組みます。次の順序を目安に、窓口で求められる資料や手続きの前後関係を確認してください。
- 新店舗の営業計画を整理する。営業時間、接客方法、酒類・食事の提供内容を、現在の許可証や届出控えと照らしてまとめます。
- 移転先について事前相談する。所在地と計画図を用意し、管轄の保健所・警察へ、営業の可否と必要な手続きを確認します。
- 新店舗の申請・届出を進める。相談結果を反映した図面をそろえ、工事や施設確認に合わせて必要書類を提出します。
- 営業を始められる状態か確認する。必要な許可の取得や届出期限を確認し、旧店舗の終了日とは別に新店舗の開始日を管理します。
深夜酒類提供飲食店営業の開始届出は、岐阜県警の案内では営業開始の10日前までです。これは深夜酒類の届出期限であり、飲食店営業許可や風俗営業許可の取得に必要な期間を示すものではありません。
風俗営業許可の審査日程や、施設確認・補正にかかる時間も考慮します。許可が必要な営業は、申請しただけでは始められません。旧店舗の退去日や新店舗の告知日を確定する前に、管轄警察署へ標準処理期間等を確認してください。
岐阜市内・市外で、食品営業の窓口と様式が変わる
飲食店営業許可の相談先は、新店舗の所在地で確認します。岐阜市内の施設は岐阜市保健所、市外の施設は所在地を管轄する県の保健所が窓口です。岐阜県の申請案内は、岐阜市を対象から除いています。
岐阜市・岐阜県の案内はいずれも、営業施設の移転には新たな許可手続きが必要としています。市内から市外へ移る場合も、旧店舗に提出した様式をそのまま使わず、新店舗の窓口に確認しましょう。
岐阜市は、新規申請を営業開始の少なくとも14日前に行うよう案内しています。通常の常設飲食店の新規手数料は、2026年4月1日改定後で18,000円です。県の保健所への申請や臨時営業等に、この金額を一律に当てはめないでください。
14日前という案内だけで、予定日に必ず開店できるとは判断できません。工事前相談、施設の確認、手直し等を見込み、具体的な日程は窓口と調整します。警察の管轄も、新店舗と旧店舗で同じとは限りません。
所在地による区分と新規手続きは、岐阜県の食品営業許可・届出の案内と岐阜市の変更手続きの案内、申請時期・手数料は岐阜市の新規営業許可の案内が根拠です。
旧店舗の終了は、新店舗の準備と別に管理する
新店舗の手続きを進めても、旧店舗の廃止や許可証返納が済むわけではありません。旧店舗に必要な手続きと起算日を確認し、閉店後の提出を忘れないよう予定表に入れます。
| 旧店舗で行っていた営業 | 終了時の手続き・期限 |
|---|---|
| 飲食店営業(岐阜市内) | 営業をやめた後、すみやかに廃業届。市外の旧店舗は、管轄保健所に提出方法を確認 |
| 深夜酒類提供飲食店営業 | 営業を廃止した日から10日以内に廃止届出 |
| 風俗営業 | 営業廃止による返納事由が生じた日から10日以内に、許可証返納の手続き |
表の期限は、岐阜市の廃業の案内、岐阜県警の深夜酒類の廃止届出と風俗営業許可証の返納に基づきます。新店舗の開始届出の「10日前」と混同しないようにしましょう。
旧店舗の営業を続けながら、新店舗の相談や申請を進める場合も、双方の営業所を分けて説明します。いつ旧店舗の営業を廃止するか、新店舗でいつ何を始めるかを、具体的な日付で伝えてください。
移転に合わせて営業する個人・法人も変わる場合は、その点も別に確認が必要です。相続・合併・会社分割等の承継については、風俗営業許可は引き継げる?相続・合併・法人成りで整理しています。
たばこの小売販売許可がある店舗では、販売営業所の移転許可も別に確認します。飲食・風営の手続きと分けて、たばこ販売店を移転するときの許可|仮移転との違いを参照してください。
よくあるご質問
移転で迷いやすいのは、近距離の引っ越し、居抜き物件、旧店舗と新店舗の日程です。別の営業所になるかを入口に、必要な手続きを確認します。
Q. すぐ近くへの移転でも、新たな手続きが必要ですか?
A. 別の物件へ移る場合は、近距離でも新店舗の手続きを確認します。飲食店営業許可は取り直しが必要で、風俗営業許可・深夜酒類の届出も営業所ごとの手続きです。屋号や営業者が同じという理由だけで、住所変更届で済むとは判断できません。
Q. 居抜き物件なら、前の店の許可を使えますか?
A. 居抜きという物件の状態だけで、前の店の許可を使えるわけではありません。既存店から別物件へ移る計画では、新店舗の施設と営業内容を確認します。事業譲渡等も伴う場合は、承継制度の適用を含めて窓口へ説明してください。
Q. 旧店舗を閉じる前に、新店舗の準備を進められますか?
A. 旧店舗の閉店前から、移転先の相談や申請準備を進めます。新店舗で営業を始められる条件と、旧店舗の廃止・返納の期限は別に管理してください。新店舗の許可申請や届出をしただけで、旧店舗の終了手続きが済むわけではありません。
まとめ:契約前の確認から、開店・閉店の日程を組む
飲食店やバーの移転は、営業内容の整理、移転先の場所・図面の相談、新店舗の申請・届出、営業開始の確認という順序で進めます。旧店舗の廃業届、深夜酒類の廃止届、風俗営業許可証の返納は、別の日程として管理しましょう。
「この物件で今の営業を続けられるか」「退去日までにどの手続きを進めるか」が気になる段階で、移転先の所在地、図面、現在の許可・届出、開店希望日をそろえてご相談ください。記事末尾のお問い合わせフォームから、移転計画をお知らせいただけます。
本記事は2026年10月6日に確認した公表資料に基づく一般的な情報です。必要な許可・届出、地域制限、提出書類、審査日程は、営業の実態や物件、営業者によって異なります。契約・工事・営業開始前に、管轄の保健所・警察署等の最新案内をご確認ください。
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