2025年の風営法改正は、ホストクラブだけを対象にしたものではありません。接待飲食営業には料金説明、客への働きかけ、注文前の飲食・遊興提供に関する規制が加わり、スカウトバック禁止、無許可営業等の罰則強化、風俗営業許可の欠格事由追加も行われました。この記事では、2026年7月24日時点で施行済みの4つの変更と、店舗が確認したい対応を整理します。
2025年改正の4つの柱は、すべて施行済み
警察庁の公表資料によると、改正法は2025年5月28日に公布されました。接待飲食営業の新たな規制、スカウトバックの禁止、無許可営業等の罰則強化は同年6月28日から、許可に関する欠格事由の追加は同年11月28日から施行されています。
| 改正の柱 | 主な対象・内容 | 施行日 |
|---|---|---|
| 接待飲食営業の規制 | 料金の虚偽・誤認説明、好意の感情等へのつけ込み、注文前の飲食・遊興提供、威迫等による料金回収等 | 2025年6月28日 |
| スカウトバックの禁止 | 一定の店舗型・無店舗型性風俗特殊営業を営む者による紹介対価の支払い | 2025年6月28日 |
| 罰則の強化 | 無許可営業、不正な許可取得、名義貸し等 | 2025年6月28日 |
| 欠格事由の追加 | 密接関係法人、処分逃れの許可証返納、暴力的不法行為者による支配的影響力等 | 2025年11月28日 |
4つの柱は対象が同じではありません。客の正常な判断を著しく阻害する行為の規制は、1号の接待飲食営業が対象です。スカウトバック禁止は、一定の性風俗関連特殊営業が対象です。無許可営業等への罰則強化や欠格事由の追加は、ホストクラブに限らず風俗営業の許可制度全体に関係します。
スカウトバック禁止は一定の性風俗関連特殊営業が対象
改正後の風営適正化法第28条第13項と第31条の3第1項は、一定の店舗型・無店舗型性風俗特殊営業を営む者が、異性の客に接触する業務へ就こうとする人の紹介を受け、その紹介者または第三者へ対価を支払うことを禁止しています。違反した場合は、6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(同法第53条)。接待飲食営業者に直接課された規制ではありませんが、2025年改正の4本柱の一つです。
接待飲食営業の新規制は「遵守事項」と「罰則付き禁止行為」の2段階
第18条の3:料金説明・感情利用・注文前提供の3類型
改正後の風営適正化法第18条の3は、1号の接待飲食営業を営む風俗営業者に、次の3類型を禁止しています。対象となる1号営業は、設備を設けて客を接待し、遊興または飲食をさせる営業です。ホストクラブのほか、許可を受けて接待を行うキャバクラ、クラブ、スナック等も営業方法を確認する必要があります。
| 禁止される行為 | 確認したい場面 |
|---|---|
| 料金について事実と異なる説明、または客を誤認させる説明 | 料金表、口頭説明、予算への回答、会計時の請求内容 |
| 客の好意の感情と「相手も同様の感情を持つ」との誤信を知りながらつけ込み、法定の方法で困惑させて飲食等をさせる行為 | 関係の破綻や従業者の降格等を理由に注文を求める営業トーク |
| 注文等の意思表示前に飲食・遊興を提供し、困惑させて注文したものとさせる行為 | ボトルの開栓、料理の提供、シャンパンコール等の開始時点 |
警察庁の2026年7月1日付け解釈運用基準(PDF・120ページ)は、料金と明示的に異なる金額を説明する場合だけでなく、予算の上限を伝えた客へ「それでも大丈夫」などと答え、上限内で利用できると誤認させる場合も例示しています。料金表を掲示するだけでなく、スタッフの説明、客の予算への回答、実際の請求内容に矛盾がないようにすることが大切です。
「好意の感情」には、恋愛感情のほか、親愛感や憧れも含まれます。ただし、客が好意を抱いているだけで直ちに違反になるわけではありません。客が「接客従業者も同様の感情を持っている」と誤信していることを知りながら、その誤信につけ込み、法律が定める方法で困惑させて飲食等をさせる行為が対象です。
第22条の2:注文・料金支払を目的とする威迫等には刑事罰がある
改正後の同法第22条の2は、接待飲食営業を営む者に対し、その営業に関して、注文や料金の支払い等をさせる目的での威迫と、威迫・誘惑による売春等の要求を禁止しています。第18条の3の遵守事項とは別の禁止行為で、違反した場合は6月以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはその両方が科される可能性があります(同法第53条)。
- 注文や料金の支払い等をさせる目的で、客を威迫して困惑させること
- 料金の支払い等のため、威迫または誘惑によって、売春その他の法令違反行為、一定の性風俗店での勤務、性行為映像制作物への出演(いわゆるAV出演)、国外での売春等を要求すること
解釈運用基準では、「威迫」は相手を怖がらせる段階に至らなくても、言葉、動作、態度で気勢を示し、不安や困惑を生じさせる行為とされています。料金を支払わせるために声を荒らげることも例示されています。対象となる財産上の給付等には、売掛金、接客従業者が立て替えた料金の返済、前入金、将来の来店時に発生する料金等も含まれ得ます。これらの支払いを求めること自体が直ちに違反になるのではなく、注文や支払い等をさせる目的で威迫して困惑させる行為が禁止されます。
無許可営業等は行為者に1,000万円以下、法人に3億円以下の罰金も
警察庁の改正概要(PDF)とe-Govの現行条文によると、風俗営業の無許可営業等に対する法定刑は、行為者について5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金、またはその両方へ引き上げられました。法人の代表者、代理人、使用人その他の従業者が法人の業務に関して対象行為をしたときは、行為者を処罰するほか、その法人にも3億円以下の罰金が科され得ます(同法第49条・第57条)。
重い罰則の対象には、無許可営業のほか、偽りその他不正な手段による許可・承認の取得、名義貸し、一定の公安委員会処分に反する営業などが含まれます。「バー」「カフェ」などの店名ではなく、接待、照度、区画、遊技設備といった営業の実態で許可の要否を判断してください。
欠格事由は「密接関係法人」と「支配的影響力」を分けて確認する
2025年11月28日から、風俗営業の許可に関する欠格事由も追加されました。主な追加対象は、次の3つです。密接な関係を有する法人の取消歴に関する欠格事由は法人の申請者が対象ですが、暴力的不法行為等を行うおそれがある者から事業活動に支配的な影響を受けている場合の欠格事由は、法人だけでなく個人事業者にも適用され得ます。
- 法人の申請者と密接な関係を有する法人が風俗営業許可を取り消され、その取消しから5年を経過していない場合の法人申請者
- 警察の立入り後など法律が定める期間中に、営業廃止について相当な理由なく許可証を返納し、返納から5年を経過していない者
- 暴力的不法行為等を行うおそれがある者が、出資、融資、取引その他の関係を通じて事業活動に支配的な影響力を有する申請者(個人・法人)
法人の新規申請では、代表者と役員だけでなく、親会社等・子会社等の「密接な関係を有する法人」も確認対象です。また、法人・個人を問わず、暴力的不法行為等を行うおそれがある者から事業活動に支配的な影響を受けていないか確認が必要です。岐阜県公安委員会の審査基準では、議決権や出資額のほか、出資・人事・資金・技術・取引等の緊密な関係も判断要素として示されています。資本関係、役員派遣、借入・融資、フランチャイズ契約等を申請前に整理しましょう。
店舗で見直す6項目と岐阜県の相談先
改正内容は全国共通です。岐阜県で風俗営業を始める場合、営業所の所在地を管轄する警察署の生活安全課が申請・相談先です。新規開業だけでなく、営業方法、役員、構造・設備、法人・資金関係等を変える場合も、変更内容に応じて必要な手続きを事前に確認してください。
- 営業区分
予定する接待の有無、照度、区画、遊技設備と許可の内容が一致しているか確認します。 - 料金表示と説明
セット料金、指名料、サービス料、税額等を整理し、口頭説明と請求内容をそろえます。 - 注文確認
高額なボトルや演出を始める前に、客の意思を確認する手順を決めます。 - 営業トーク
客の好意と「相手も同様の感情を持つ」との誤信につけ込み、困惑させて飲食等を求める言動がないか研修します。 - 注文・料金回収
注文や支払いのための威迫と、威迫・誘惑を用いた売春、性風俗店勤務、AV出演等の要求を社内ルールで禁止します。 - 法人関係
役員、株主、親子会社、借入先・融資先を含む資金関係、フランチャイズ等の関係を申請資料と一致させます。
岐阜県公安委員会の審査基準(PDF・3ページ)も、密接な関係を有する法人の範囲と、暴力的不法行為者による支配的影響力の判断基準を示しています。後者は個人事業者にも適用され得ます。判断に迷う関係がある場合は、申請直前ではなく、事業開始、法人設計、物件契約の前に整理する方が安全です。
よくあるご質問
改正はホストクラブだけに適用されますか?
いいえ。第18条の3と第22条の2の新規制は、ホストクラブに限らず、1号の接待飲食営業が対象です。スカウトバック禁止は一定の性風俗関連特殊営業が対象で、無許可営業等の罰則強化と欠格事由の追加は、風俗営業の許可制度全体に関係します。
料金表を掲示していれば問題ありませんか?
料金表だけで判断することはできません。料金表と口頭説明、客が伝えた予算への回答、実際の請求内容に矛盾がなく、飲食・遊興を提供する前に客の意思を確認する必要があります。料金の一部だけを説明し、全体を誤認させる場合も問題になり得ます。
すでに許可を受けている店舗も対応が必要ですか?
はい。営業中の1号店にも、施行後の料金説明、営業トーク、注文、料金回収に関する規制が適用されます。法改正だけを理由に既存許可を一律に取り直す制度ではありませんが、営業方法、役員、構造・設備等の変更内容により、変更届や事前承認等が必要になることがあります。法人関係や資金関係の変化が欠格事由に影響しないかも確認してください。
まとめ:許可証だけでなく日々の営業手順を更新する
2025年改正では、接待飲食営業の料金説明、好意の感情等へのつけ込み、注文前の飲食・遊興提供、威迫等による注文・料金回収が規制されました。一定の性風俗関連特殊営業ではスカウトバックが禁止され、無許可営業等の罰則も大幅に強化されています。許可の欠格事由では、法人申請者の密接関係法人に加え、個人・法人の事業に対する暴力的不法行為者の支配的影響力も確認対象です。料金表、注文確認、従業者教育、法人・資金関係の資料を現在のルールに合わせてください。
「現在の営業トークや注文方法をどこまで見直すべきか」「法人関係を申請前にどう整理するか」という段階のご相談も可能です。初回相談は無料ですので、お問い合わせフォームからお気軽にご相談ください。
公式情報・出典(2026年7月24日確認)
- 警察庁「悪質ホストクラブ対策について」
- 警察庁「風営適正化法改正の概要」
- 警察庁「風営適正化法等の解釈運用基準」(2026年7月1日)
- e-Gov法令検索「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」
- 岐阜県公安委員会「風俗営業等の許可等に関する審査基準」
- 岐阜県警察「風俗営業許可申請・届出手続」
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